職人さん達に気を遣わせてしまった

娘、「私、来週受験だよ。どうして、今、家の塗り替えをするの?」 妻、「進学したら、お金が掛かるでしょ」 娘、「進学出来なかったら、どうするの?」 妻、「進学出来ないのは、貴方がバカだからでしょ」 娘は、自分の部屋のドアを思いっきり閉めた。 私、「家の塗り替えはマズかったかな?」 妻、「受験勉強が捗らないのを、他人のせいにしたいだけよ」 窓を閉めていても、家の塗り替えをしていると、職人さんが金属製の足場を歩く音や、塗料缶を置く時などの乾いた音が聞こえる。 「ピンポーン」と玄関チャイムが鳴って出たのは妻。 妻、「貴方、何か買ったの?」 私、「うん」 運送屋さんが持って来てくれたのは空気清浄機。 妻、「空気清浄機なんて、あるじゃない」 私、「家の塗り替えをしていると、換気が出来ないだろ」 妻、「貴方が使うの?」 私、「誰が使ったって良いじゃない」 届いた空気清浄機を娘の部屋に持って行こうとすると 妻、「娘を甘やかせ過ぎ」 私、「・・・」 娘の部屋に空気清浄機を持って行くと 娘、「忙しいから、そこに(ドアの外)置いといて」 昼になると、食事のために娘がリビングに来たため 私、「空気清浄機はどうだった?」 娘、「使ってない」 私、「どうして?」 娘、「だって、あの空気清浄機ウルサイのよ」 私、「静音タイプの空気清浄機だよ」 娘、「ウルサイものはウルサイの」 昼の3時になったら、家の塗り替えをしてくれている業者さんに珈琲を出すのだが、優先順位は受験勉強を頑張っている娘のほうが先。 娘の部屋に珈琲とお菓子を持って行くと 娘、「そこに(ドアの外)置いといて」 父親としては、頑張る娘を少しでも見たいのだが、ドアを開けるわけにはいかない。 家の塗り替えをしてくれている業者さんに珈琲を持って行くと、親方さん(ベテランの職人)は、娘の勉強の妨げにならないよう、小声で若い職人さんを集めた。 小声で呼ばれたことに気付かなかった若い職人さんが、足場の上を走ると 親方さん、「コラッ、落ちるぞ!」 私、「・・・」 他の職人さん達、「・・・」 受験生に「落ちるぞ」は禁句だったことに気付いた親方さんは、娘の部屋に向かって深々と頭を下げた。 親方さんをはじめ他の職人さんの協力もあり、娘は希望校に合格出来た。 家の塗り替えでキレイになった家の前で、娘の合格を記念して家族写真を撮った。

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